★潤★
昨日も今日も桜井さんとランチ。
きれいな横顔に見とれる。あの日の夢はいまも鮮やかに心にしまってある。忘れることができないあの甘いキス。あんな風になるのを望んで好かれようとしているのか。自分にもわからない。でもほんとうにあんなキスがこの世に存在するのか確かめてみたい。
「彼氏ってどんな人?」
聞けそうで聞けないこの一言。今日もとうとう言えなかった。
仕事中毒の私が土曜に家にいる。会社で細かい仕事をやっつけてしまえと思っていたのに行く気がしない。
雨のせいじゃない。天使が頭の中を飛び回ってるから。
いまごろ何をしてるかなあ。メアドきいてなかったから何もできない。
着替えてはみたものの会社に行ってもこれじゃ仕事が手につかないだろうな。
ため息。デートかな。それとも…。週末だもんね。くよくよ。これじゃまるで恋じゃないか。どうしよう。うじうじしながら結局日曜の夜に結論がでた。
私は恋におちた。まぎれもなく。あっさり降参。
でも告白なんてしない。ただそばにいられればそれだけでうれしい。
でも夢の終わりはあっけなくやってきた。
ある日いつもと同じようにランチに出かけると、彼女とそして彼氏とおぼしき男の人がいた。わざわざ会いに来るほど盛り上がってるんだね。
外に出ると涙があふれてとまらない。これはまさしく失恋だ。
三十分くらい歩き回ったけどまだ涙がとまらない。
胸が痛いよ。
☆真由☆
あれから潤さんに避けられてる、と思う。たまたま会議や外出が続いたせいもあるけどもう一週間以上も一緒にお昼を食べていない。仕事のやりとりは相変わらずあるけれどとても事務的だし。会社でメールを出そうと何回も下書きしたけど出せなかった。家に帰ってぼーっとする。
でもなんで? 潤さんはなぜ私を避けるの? わからないよ。
ケータイが光ってる。
そういえばメアドも交換してないんだね私たち。裕美からメール。今フリーだってことは理解してくれたらしいが、早速合コンをセッティングするとは。はあ、合コンか。私はいま誰でもいいから隣にいてほしいわけじゃない。正直に告白すると潤さんに隣にいてほしい。
それってヘン? だから避けられてるのかな。
情けない私。
明日は会社に行きたくないな。
昨日会社をズル休みしたから仕事がたまっていた。今日の潤さんは一日中会議でほとんど席にいない。このまま週末に入ってまた距離が広がるのかな。こんなに苦しいのは私だけなの? 胸が苦しい。