ブラジャーの上からキス ♯1|神崎セロリ

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ブラジャーの上からキス ♯1/神崎セロリ

ブラジャーの上からキス ♯1/神崎セロリ

転校生がやってきた。女子高だからあからさまじゃないけど、クラスがざわつくほどの美人だ。名前は美菜。美菜はひとりでいるのが好きらしく、誰ともしゃべらずクラスのなかで孤立していた。わたしも最初は美菜のこと好きじゃなかった。でもいっしょに日直をしたことがきっかけで、美菜は好きでひとりでいるわけじゃないと気づき仲良くなっていく。そんなある日、美菜が元子役アイドルだったことが判明。「仲良くなったのに何も教えてくれなかったなんてショック。わたしにだけこっそり打ち明けてくれたってよかったのに……」。わたしはつい問い詰めてしまい、美菜は教室から飛び出していく……。
抄録

「マリカって可愛い。ごめんね。わたし、我慢できない」
美菜はわたしのブラジャーをずらし、硬くなった乳首を口に含んだ。女の子の柔らかい唇に吸われると、今まで味わったことがない気持ちがわいてくる。わたしも二カ月前まで彼氏がいて、その男の子とH寸前までしたことがある。同じ高校生だったから、暗くなった公園で抱き合った程度だが、胸をまさぐられた時、力を込められたので、痛かった記憶しかない。でも、美菜は違う。優しく、優しく、おっぱいを撫でて、ほおずりしていく。
気がつくと、スカートの中で、太股《ふともも》が撫でられていた。思わず体が硬くなったが、羽毛で撫でるように、お尻から腰にかけて撫で回されていくと、体から力が抜けていく。スルっと、ショーツの脇《わき》から、細い指が入ってくる。わたしは、美菜の首に手をまわして、もう動けない。指は、わたしの恥骨《ちこつ》のあたりを撫で、一番敏感なところの周辺をさすっている。触れるか触れないか分からないぐらいに撫でられていると、体の中から水が流れていくのが分かった。指が、一番敏感なところに触れると、電気が走ったようになる。指先で、突起の部分を少し刺激されただけで、わたしは、深いため息を漏らして、ぐったりした。
「あら、マリカって、感度がいいのねえ」
美菜の声が遠くに聞こえた気がした。

それから美菜とは、何度も抱き合った。美菜の指に触れると、わたしはすぐ体が熱くなる。昼間、学校で美菜が鉛筆を持っている指を見るだけで、わたしの体の中に入ってくることを想像するようになるころ、七月も終わりに近づいて、夏休みになった。
夏休みになって、美菜は都内のダンススクールに通うようになった。やはり、もう一度ちゃんとチャレンジしたい、今度は舞台に立ちたいと言って、二週間の集中レッスンを受けだしたのだ。早朝から夜遅くまでダンスをしているらしいが、朝と夜に「おはよう」「おやすみ」とメールが入る。最初は一緒にレッスンに参加している嫌味な女とか、ナルシズムの塊のような男の子の話とかが書いてあった。でも、だんだんとメールが短くなってきた。集中レッスンは、レッスンを受けるのにもテストがある選抜クラスだとかで、ブランクのある美菜にはかなり厳しいらしい。メールにも疲れた、足が痛いという言葉が入るようになってきた。
「大変だから、仕方がないよね……」
とわたしは独り言を言う。でも、でも、もう少しメールしてくれてもいいんじゃないのかな。わたしは、だんだんと美菜が遠くなっていくような気がして、寂しくなった。


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著者プロフィール

神崎 セロリ(かんざき せろり)

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