「マリカって可愛い。ごめんね。わたし、我慢できない」
美菜はわたしのブラジャーをずらし、硬くなった乳首を口に含んだ。女の子の柔らかい唇に吸われると、今まで味わったことがない気持ちがわいてくる。わたしも二カ月前まで彼氏がいて、その男の子とH寸前までしたことがある。同じ高校生だったから、暗くなった公園で抱き合った程度だが、胸をまさぐられた時、力を込められたので、痛かった記憶しかない。でも、美菜は違う。優しく、優しく、おっぱいを撫でて、ほおずりしていく。
気がつくと、スカートの中で、太股《ふともも》が撫でられていた。思わず体が硬くなったが、羽毛で撫でるように、お尻から腰にかけて撫で回されていくと、体から力が抜けていく。スルっと、ショーツの脇《わき》から、細い指が入ってくる。わたしは、美菜の首に手をまわして、もう動けない。指は、わたしの恥骨《ちこつ》のあたりを撫で、一番敏感なところの周辺をさすっている。触れるか触れないか分からないぐらいに撫でられていると、体の中から水が流れていくのが分かった。指が、一番敏感なところに触れると、電気が走ったようになる。指先で、突起の部分を少し刺激されただけで、わたしは、深いため息を漏らして、ぐったりした。
「あら、マリカって、感度がいいのねえ」
美菜の声が遠くに聞こえた気がした。
それから美菜とは、何度も抱き合った。美菜の指に触れると、わたしはすぐ体が熱くなる。昼間、学校で美菜が鉛筆を持っている指を見るだけで、わたしの体の中に入ってくることを想像するようになるころ、七月も終わりに近づいて、夏休みになった。
夏休みになって、美菜は都内のダンススクールに通うようになった。やはり、もう一度ちゃんとチャレンジしたい、今度は舞台に立ちたいと言って、二週間の集中レッスンを受けだしたのだ。早朝から夜遅くまでダンスをしているらしいが、朝と夜に「おはよう」「おやすみ」とメールが入る。最初は一緒にレッスンに参加している嫌味な女とか、ナルシズムの塊のような男の子の話とかが書いてあった。でも、だんだんとメールが短くなってきた。集中レッスンは、レッスンを受けるのにもテストがある選抜クラスだとかで、ブランクのある美菜にはかなり厳しいらしい。メールにも疲れた、足が痛いという言葉が入るようになってきた。
「大変だから、仕方がないよね……」
とわたしは独り言を言う。でも、でも、もう少しメールしてくれてもいいんじゃないのかな。わたしは、だんだんと美菜が遠くなっていくような気がして、寂しくなった。